[ ホームページ ] [ 携帯用URL ]
〈短説の会〉掲示板
〈短説の会〉掲示板−−短説作品のご感想、公式サイトへのご意見、各座会の事務連絡、近況報告等、お気軽にご利用下さい。−−

[ EZBBS.NET | 新規作成 | ランキング | オプション ]
iモード&(絵文字)、au対応!ケータイからも返信できる無料掲示板!
名前
 E-mail 
題名
内容
投稿KEY    タグ有効 改行有効 等幅フォント
URL
 



26.短説:作品「流山」(2005.1.15/ML座会)  
名前:西山 正義    日付:2005/01/21(金) 13:12
   流 山

             西山 正義

 昭和維新を夢見て、壮士気取りの若者が四
人寄り合っていた。リーダー格の田端は眼光
鋭く、口髭を蓄え、戦時中の国民服を模した
服を着ていた。平川は羽織袴に、朴歯の高下
駄。麻生はいわゆる戦闘服。間宮ひとりはご
く普通の学生服だったが、安全靴を履き、蝋
で固めた学帽を目深に被っていた。
 間宮の運転するターボ・チャージャー付の
最新型スカイラインに乗っていても、とても
一九八〇年代の学生には見えない。
 流山に来ていた。間宮にとっては初めての
土地である。地元出身千葉商大国防部の平川
のつてで、ある民族派の老人と会っていた。
 和志丸剛毅と名乗るいかにも老翁然とした
その老人は、夥しい古文書に囲まれて鎮座し
ていた。
 若衆の訪問に老人は気を吐いた。本職は郷
土史家だというが、間宮は胡散臭いと思った。
「そもそもヤルタ・ポツダム体制が……」
 天下国家を論じれば、田端も黙ってはいな
い。いつもの大言壮語がはじまる。
 しかしいつの間にか、なぜか幽霊の話にな
っていた。もう夜も更けていた。
「では、これから幽霊を見に行こう」という
ことになり、間宮の車で出掛けた。田圃の向
こうに小高い丘があった。その辺りが古戦場
跡だというのはあとから聞いた。
 稲穂の匂いが薫った。鬱蒼とした木立の向
こう、それは居た! まるで待っていたかの
ように。甲冑姿の黒い影。見たのは間宮だけ
ではなかった。からだが硬直し、動けなくな
った。麻生が引き寄せられるように、ふらふ
ら前を行く。間宮は危うく引き止めた。こん
なにはっきり見たのは初めてだと、和志丸剛
毅も声を震わせた。
 あれは何だったのか。確かに見た。幻影と
は思えない。和志丸剛毅は戦国時代の古戦場
だと語ったが、武州多摩郡に生まれ育った間
宮には、そうは思えなかった。もっと近しい、
生々しい、そして血腥い気を感じた。

http://homepage3.nifty.com/masayoko/



27.Re: 短説:作品「流山」(2005.1.15/ML座会)
名前:西山 正義    日付:2005/01/21(金) 13:20
先日ML(メーリングリスト)座会に出した作品です。
ちょっと実験的に掲示板にアップしてみます。
批評大歓迎。返信欄にどうぞ!

http://homepage3.nifty.com/masayoko/


28.短説:作品「蓮沼」(2005.1.22/ML座会)
名前:西山正義    日付:2005/01/22(土) 20:26
   蓮 沼
 
             西山 正義
 
 また幽霊の話である。大学二年の夏、サー
クルの合宿で、外房の蓮沼海岸に行った。
 僕らが作ったサークルである。大学側には、
歴史・民俗・文化研究会ということで登録し
ていたが、自分たちでは「自分の中の社会を
見つめる会」と名乗っていた。政治・宗教的
な色彩はない。一口で説明するのは難しいが、
主旨としては、従来の組織のあり方を否定し、
新たな個対個のコミュニケーションのあり方
を模索するというものであった。
 時はジョージ・オーエルの『1984』年。
構造主義とニュー・アカデミズムが一世を風
靡していた頃である。ポスト・モダンの影響
は確かに受けていたが、もちろん、それと幽
霊の話とは関係ないし、僕らは青白い顔をし
て海にも入らなかったということではない。
 朝のうち一回目の討論会をし、日中はたっ
ぷり泳いだ。関百合子の均整のとれたプロポ
ーションと、奥村靖子が相当なグラマーなの
には目を見張るものがあったが、男同士の時
にもそういう話題に興ずる連中ではなかった。
 三日目、夕焼けを背に海から上がってきた。
丈の高い葦に囲まれた小径を抜け、宿の前の
道に出る。横切れば民宿の前庭。僕は、中学
からの親友・草野と最後尾にいた。埃っぽい
その道は、海岸線らしく、その辺りで大きく
蛇行し、道幅も狭くなっている。
 まさに黄昏だった。宿の前庭西側に、傾き
かけた木製の電柱があった。見上げたのは草
野と殆ど同時だった。ちょうど電線を繋ぐガ
イシがある辺り。ほの白く漂うものがあった。
幽霊! 草野と顔を見合わせて頷きあった。
 その夜、宿の前で自動車事故があった。サ
ーファー同士の正面衝突。僕は民宿の電話で
警察に連絡したりしていたが、草野が指差し
た。事故現場は、例の電柱の真下だった。


29.Re: 短説:作品「蓮沼」
名前:西山正義    日付:2005/01/22(土) 20:31
あら、等幅フォントにするの忘れました。やっぱりこれだと読みにくいな。強制改行を無効にするという手もあるが。

「26.短説:作品「流山」(2005.1.15/ML座会)」への返信

無料アクセス解析

アクセス解析の決定版!無料レンタルで最大100ページ解析!

   投稿KEY
   パスワード

EZBBS.NET produced by InsideWeb