京都大学点訳サークル掲示板
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329.映画における視覚障害者 返信(0)
[卓]2018/11/17(土) 17:10
気付けば11月。前回の書き込みが8月。3カ月たったので、掲示板更新の月(セルフノルマ)です。
今回は映画に出てくる視覚障害の話を書きたいと思います(と言ってもあまり真っ当な話じゃありませんがご容赦を)。
日本ではたびたび視覚障害そのものをテーマにした映画が公開され、時にはヒットしています。『ベルナのしっぽ』などがその代表です。
この手の映画は視覚障害に関しては緻密に、丁寧に描いているか、あるいは少なくとも描こうとしているのが普通です。
誤解を恐れず言うなら、こうした映画は視覚障害の社会的な啓蒙を企図して作られている部分があるため、視覚障害を「正しく」描くということは必然的な課題となります。
他方で特に海外ではおよそ啓蒙的でない映画に視覚障害者のキャラクターが登場することがしばしばあります。
このとき、視覚障害の「正しい」描写というのはいったん脇に置かれ、各映画の文脈に沿った視覚障害の表象がキャラクターに与えられることがあります。
それぞれの視覚障害の表象は滅茶苦茶だったりもするのですが、それはそれで興味深いものです。
というわけで、視覚障害がテーマじゃないけど視覚障害者が登場する映画をいくつかピックアップして紹介したいと思います。
※以下の記述では各映画の核心に触れることは避けますが、多少のネタバレは含みうるのでご注意ください。

@『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
デンマーク映画を牽引する鬼才、フォン・トリアー監督の代表作。「後味の悪い映画」「鬱になる映画」などで調べるとまず間違いなく挙げられるほど陰鬱な映画。
主人公は徐々に視力の落ちる病気にかかっている女性。彼女の病は遺伝性で、息子も将来的には視力を失ってしまう。息子の治療のため彼女は必死に働くが、その過程で様々な苦難を経験することになる。
障害者を憐みの対象として描いたり、努力する障害者を映して感動を引き起こそうとしたりする表現は今日ではよく批判される。この映画はその路線を割と地で行く作品である。
だが本作がある意味で凄いのは、映画の後半ではもう視覚障害とかどうでもいいくらいに主人公が悲惨に思えてくる点にある。ラストシーンでは観賞者の精神はズタボロになっていること間違いなし。

A『ドント・ブリーズ』
「○○してはいけない」シリーズの先駆けとして、近年のアメリカのホラー映画を象徴するヒット作。
主人公は空き巣・強盗を生業とする若者たち。彼らは全盲の老人をカモだと思い、彼の家に侵入する。だが実はその老人が相当ヤバい奴であり、若者たちは恐怖の一晩を過ごすことになる。
「音を立てると気取られる」、「暗闇の中、晴眼の若者はやみくもに逃げるほかないが、老人は自由に動けまわれる」など、視覚障害を利用した恐怖表現に秀でている。
当然、視覚障害者をモンスター扱いした点は方々から問題視されたが、「この映画をきっかけに視覚障害者への理解を深めようと思った」的なレビューもチラホラ見かけるので侮れない。

B『ゲット・アウト』
アメリカのレイシズムを皮肉ったサスペンス・スリラー。
白人のガールフレンドを持つ黒人の青年が主人公。青年は彼女の両親に挨拶するため彼女の実家へ向かう。両親は一見して黒人に親和的な態度を見せ、青年を歓迎するが、彼は次第にその家に違和感を感じ始める。
本作に登場する視覚障害者は、全盲で白人の古美術商を営む老人。この老人もやはりヤバい奴で、青年の眼で世界を見たいという欲望から、青年の脳みそを乗っ取ろうとする。
全盲をモンスターのように描いたという点では『ドント・ブリーズ』と共通しているが、こちらはあまりその観点からは話題になっていないようだ。

C『ディスコード』
イギリス発のホラー映画。インディペンデント映画ながらイギリス国内ではそこそこヒットし、続編も製作された。
母親の葬儀のため久しぶりに実家に帰省する主人公。だが実家で姉が忽然と姿を消してしまう。主人公は姉を捜索するうちに様々な怪現象に巻き込まれていく。
本作ではスティーヴィーという女の子が登場する。彼女は作中では明言されていないが、その振る舞いを見る限り視覚障害を持つ設定のようである。スティーヴィーは持ち前の霊能力を駆使して主人公に事件解決の糸口を与える。
本作に限らず、創作の世界では視覚障害者が卓越した(場合によっては人間離れした)聴覚・嗅覚・触覚能力を持つものとして描かれることが少なくない。スティービーの霊能力もその延長線上に位置づけられた設定・表象のような印象を受ける。

D『ブラインド』
韓国のサスペンス・ホラー。韓国アカデミー賞で最優秀脚本賞を取るなど高く評価された。
主人公は全盲の女性でありながら、殺人事件の唯一の目撃者となってしまう。だが全盲ゆえに彼女の話に警察は耳を貸してくれない。やがて彼女は犯人の執拗な悪意に巻き込まれていく。
『ドント・ブリーズ』とは正反対に、こちらは視覚障害者が被る恐怖体験を描く。主人公には見えないが犯人が目の前にいる、みたいな演出が怖い。
ちなみに聴覚障害者の恐怖体験を描くホラー映画としては『サイレンス』(Netflix限定)がある。

E『ブラインド 視線のエロス』
ノルウェーのポルノ映画。サンダンス映画祭などで評価を得ている。タイトルはDと同じだが全く関係ない。
徐々に視力が落ちる病によって、ついに全盲となった既婚女性が主人公。彼女は失明したことへの失望と焦燥感から自宅に引きこもり、夫が不倫する様を繰り返し妄想するようになる。その妄想が次第にエスカレートしていき……。
障害者の性生活を描いた稀有な作品。やや刺激的な描写もある。見えないからこそ周りの世界の視覚イメージは想像で補うしかない。その妄想と現実とが境界を失うように混ざり合っていく様を表す映像表現が、北欧映画特有の静謐な雰囲気の下で紡がれていく。
また中途失明の人の苦悩や、それを取り巻く周りの人の接し方などが非常に丁寧に、かつ映画の主題に沿った仕方で描かれていることもポイント。

F『エンジェル 見えない恋人』
ベルギー発のファンタジー要素の強い恋愛映画。
主人公は透明人間として生まれた少年。彼はずっと母親以外の人間との関係を断ってきたが、ある日全盲の少女と出会い、やがて恋に落ちる。だが少女は目の治療のため長い間家を離れることになる。長い年月を経て視力を得て戻ってきた彼女と向き合う術を彼は模索する。
「見えない恋人」というダブルミーニングなサブタイトルから分かる通り、透明人間と視覚障害者という設定そのものが恋愛の本質的な相補性のようなものを象徴しているような印象を受ける。
フェティッシュなカメラワークと詩的な台詞回しが特徴的な本作。「目を閉じるとあなたが見える気がするの」という台詞が筆者のお気に入り。

いかがでしたでしょうか。紹介した映画のジャンルや趣向に偏りがあるような気もしますが、それは筆者の趣味の問題ですので悪しからず。
ところで、たまたまかもしれませんが、少なくとも今回紹介した7作品の内では、男性の視覚障害者のキャラには碌なのがいないのに対し、女性のそれには比較的常識的な人が多いですね。表現としてそういう傾向性でもあるのでしょうか。
さてさて、今回は映画を紹介しただけでお勧めしたわけではない(むしろ観賞を推奨しないものもある)ですが、気になった映画があれば観てみてください。

328.今年の鳥居賞は一谷先生! 返信(0)
[あや]2018/09/12(水) 18:02
9月12日の京都新聞朝刊などで記事になっていますが、
一谷孝さんが今年の★鳥居賞★の伝達を受けられました!!
鳥居賞は視覚障害者福祉に貢献された方に贈られるもの。
一谷さんは、中途で視覚障害になられてから教員に復職されたことや、
フェニックス会・船岡老人クラブハウスなどの組織づくりに貢献されたことが
受賞につながったようです。
2017年度のNF研究にもご協力くださったりと、
京大点訳が何かとお世話になってきた方でもあります。
おめでとうございます♪♪

327.そういえば 返信(0)
[卓]2018/08/09(木) 17:02
いまさらですが、たった今気付いたので念のために書き込みを。
本掲示板における2014年9月2日のあささんの書き込みで、マンガ点訳においてキャラクターの独白を表すために「こころのなかで」という定型句を用いる、という旨のお話がありますが、今では当会は別の点訳方針を採っています。
具体的には独自の囲み記号(開きカッコ:CDE+B、閉じカッコ:E+@AB)でセリフを囲って、カッコ内が独白であることを表します。
当時のあささんの言うとおり、いまだマンガ点訳の一般的なフォーマットと呼べるものが存在しないので、我々も試行錯誤しながらなるべく読みやすい点訳の方法を模索している途中です。

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