俺はガキの頃から真っ黒で足が速く、人呼んで「野生児猿」と呼ばれていた。ある時期までは自分で速いと思っていただけなのだが、思い込みというのはスゴイ。本当に足が速かったのだから、暗示というのは世界を変えるかもしれない。 足が速くなると試したくなるのが人情だ。俺は学校の行事である短距離や長距離を問わず何でも参加し、撃破していった。実力をつけた俺はいつの間にか自分が考えていた以上に速くなり過ぎて、それはいつしかプレッシャーとなる。 俺はすでに陸上を引退しているが、今ではフルマラソンの中継を見るのも嫌だ。シロウトならなぜ意味もなく走っているのだろうと疑問に持つことだろう。だが、人間何かトリエを持つと試してみたくなるものだ。だが、プレッシャーに敗れた俺は陸上に何の未練もない。ついこないだ別れたA子のように。
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